日々の暮らしの中にあるアートを見つけてゆきます

2011年7月21日木曜日

国宝 十一面観音 渡岸寺どうがんじ (向源寺) 


ずっと拝みたかった十一面観音に出逢うことができました。

天平の世(天平8年 736年)、聖武天皇が民の治癒と健康を願い
僧の泰澄に勅命を出されて彫られた一木作りの十一面観音。
延暦20年(801年)には桓武天皇の勅を受け最澄が伽藍を建立したそう。
そして1500年代の戦国の世には、
地元の民により土に埋められて戦火の難を逃れた観音さま。

左手に水の入った壺をお持ちになり、腰をかすかにひねらせて、
右足は今にも人々を救済に出かけんと歩み出した優美なお姿。
仏像に男女はないのだろうが、
風を受け衣が揺れた一瞬をとらえた美しさは
どうしても女神様の体(てい)を感じてしまう。

呆れ過ぎて、憤怒を通り越し、にかーっと大笑いされて魔を払う
真後ろの爆笑相(暴悪大笑相)をもしっかり拝むことができました。

私が十一面観音を知ったのは、今から12年前の1999年の夏。
当時、ミレニアムカウントダウングッズの担当を仰せつかり
取引先と商談の際、井上靖氏の『星と祭』の本と共に教わりました。

「滋賀にご縁があるのなら、ぜひ、
   高月(たかつき)の十一面観音をご覧になると良いですよ。」

私もいつかは、と思いながらも10年の歳月の中ですっかり忘れていました。

私の願いを知り、この度、父が連れていってくれました。
かつての金箔は剥がれ落ち、元々の木の目の素朴な美しさがかえって
観音さまの優美さを引き立ている様に思いました。

膝程もある長い長いお手は広く民を救おうとされるお心の現れだそうです。
全長1.95mですから人の姿により近く、
かつての民は本当に自分たちを救って下さる観音菩薩として
心の拠り所として信心したのではないでしょうか。



ちなみに、渡岸寺(どうがんじ)は地名であり、
向源寺(こうげんじ)はお寺の名前だそうです。
JR北陸本線の高月駅から5分程度で行かれます。


私が十一面観音のお堂に居ることが出来たのは20分程度でしたが、
いつまでも、いつまでも見つめていたいほど、
誠に優美で穏やかに力強い観音菩薩像でありました。

またいつか折りにふれて、ゆっくり拝みにゆきたいと思います。

2 件のコメント:

  1. 美しい写真ですね・・・「空気が写る」って凄いです!

    無宗教・無信心のオイラですが神社仏閣巡りは大好きです。
    無論、頭も垂れますしお賽銭もあげます、・・・がお願い事はしません。
    お姿(景色)を拝した御礼と今まで生きて来た事の報告です。

    年と共にそんな機会が増えましたかね。(^_-)-☆

    無宗教・無信心の魂は何処へ行くのでしょうか?
    まぁ、さまようのも嫌いではないのですが・・・。(笑)

    返信削除
  2. まあ、過分なお褒めの言葉、ありがとうございます♪

    私も、どの宗教にもそれぞれ意味があると思うで、
    ひとが何を信じる、信じないは、自由だと思います。

    生きてゆく中で、その心の持ち様や状況で
    ひとは、極楽にも、修羅にいけるのだろうなあ。
    心持ち次第でその都度変わって来るような印象を
    最近は受ける様になりました。

    ですから、寅さんはすでにお釈迦さまですね〜(^ ^)/

    返信削除

自己紹介

自分の写真
Yokohama, Japan
まいにちの普通の暮らしの中に アートがいっぱいあるとおもう。 子どもの描く絵だったり、 空や樹々、花がきれいだったり。 ありがとうの言葉と心を大切に、 日常を大切にして楽しんでゆきたいな。 まいにちの暮らしの中でみんなが笑顔になるといいな。 I think our daliy life is full of Art. Hope everyone will be smiling and happy everyday! My favorite words are " Thank you ".